当ブログでは、短答試験の過去問を解説していきます。
答えを出すだけではなく、趣旨とか多法域との関連とか、受験テクニックとか
雑多なものをたくさん載せるつもりではありますので、
簡潔な解説が見たい方は是非予備校が出している過去問集をご参照ください。
当ブログは筆者の勉強のために書いているところが多分にあります。
1
委任による代理人が特別の授権を得ないで拒絶査定不服審判の請求の手続を行った場合、審判長は、当該請求の手続について、補正をすべきことを命ずることができない。
これを解くためには、①補正命令はどの場合にできるか、②委任による代理人が手続を行う際に特別授権が必要か の2点が分かればよいです。
①補正命令ができる場合
(代理権の範囲)
第九条 日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請若しくは申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張若しくはその取下げ、第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄又は復代理人の選任をすることができない。
語呂合わせあります。
<語呂>出演声優実行不法服 9条特別授権が必要な手続
また、関連条文で委任による代理人ではなく、14条で共同出願をした場合もあります。
(複数当事者の相互代表)
第十四条 二人以上が共同して手続をしたときは、特許出願の変更、放棄及び取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請又は申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張及びその取下げ、出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。
<語呂>出演声優交付
多法域との関連でいうと、意匠法14条秘密意匠の期間を伸ばしたり縮めたりする請求(14条3項)は不利益行為と思われがちですが、そうではないようです。短答試験出題例あり。
2
特許庁長官は、手続をする者の代理人がその手続をするのに適当でないと認めるときであっても、当該代理人が在外者の特許管理人であるときは、その改任を
できない。
改任は16条に書いてあります。
要は手続をする者がどうしようもないときに代理人を代われと命令ができる権利です。
(代理人の改任等)
第十三条 特許庁長官又は審判長は、手続をする者がその手続をするのに適当でないと認めるときは、代理人により手続をすべきことを命ずることができる。
2 特許庁長官又は審判長は、手続をする者の代理人がその手続をするのに適当でないと認めるときは、その改任を命ずることができる。
3 特許庁長官又は審判長は、前二項の場合において、弁理士を代理人とすべきことを命ずることができる。
4 特許庁長官又は審判長は、第一項又は第二項の規定による命令をした後に第一項の手続をする者又は第二項の代理人が特許庁に対してした手続を却下することができる。
普通に13条2項のままなので、×
3
共同出願人である甲、乙、丙の3者のうち、甲及び乙を代表者として定めて特許庁に届け出たときであっても、丙は単独で明細書の補正をすることができる。
14条で私は勘違いしてたのですが、
「不利益行為以外」は各人が全員を代表する
代表者を定めて届け出た時は、「この限りではない」
この「この限りではない」というのは、「各人が全員を代表しない」ということなので
代表者を届け出たら、代表者以外の人は、不利益行為以外の手続はできませんよ、ということです。
不利益行為ができるようになるわけでないので注意!
(複数当事者の相互代表)
第十四条 二人以上が共同して手続をしたときは、特許出願の変更、放棄及び取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請又は申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張及びその取下げ、出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。
⚪︎です。
4
特許異議申立書を日本郵便株式会社以外の民間事業者の提供する信書便物により提出した場合、その通信日付印により表示された日時に、当該特許異議申立書が特許庁に到達したものとみなされる場合がある。
発信主義/到達主義 についての規定です。
(願書等の提出の効力発生時期)
第十九条 願書又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているものを郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号。以下この条において「信書便法」という。)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)の役務であつて経済産業省令で定めるものにより提出した場合において、その願書又は物件を日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、その郵便物又は信書便法第二条第三項に規定する信書便物(以下この条において「信書便物」という。)の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。
条文を見ると、日本郵便株式会社以外の民間事業者については規定がないようです。
これについてはわかりませんでしたが、「到達したとみなされる場合がある」なので、一つでも例があれば⚪︎
一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者 ということで日本郵便以外のことが書いているので、が根拠になるのでしょうか??
5
特許原簿に、通常実施権及び仮通常実施権に関する事項が登録される場合がある。
通常実施権は登録制度がなくなりました(商標法は登録されています)
なので、「場合がある」なので⚪︎を選んでしまいそうですが、これは一切登録されません。
(特許原簿への登録)
第二十七条 次に掲げる事項は、特許庁に備える特許原簿に登録する。
一 特許権の設定、存続期間の延長、移転、信託による変更、消滅、回復又は処分の制限
二 専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
三 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
四 仮専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
実施権は専用実施権に限られており、通常実施権の記載はありません。
答え
4 が正解です。
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